助川公認会計士事務所 | 経営管理 | 04/10/28 |
売掛金管理のポイント |
売掛金が回収されないまま買掛金の支払いが先行すると、企業はやがて倒産にいたります。売掛金の回収には、日頃の売掛金管理がポイントです。企業にとっては、売掛金を回収してから買掛金を支払うのが理想的です。ところが、逆に売掛金の回収がなされないまま買掛金の支払いが先行するようだと、資金繰りが厳しくなり、やがて倒産にいたります。
売掛金を管理する際のポイント:売掛金を確実に回収していくためには、日頃の売掛金管理が重要です。そのポイントは次のとおりです。
ポイント1:各得意先別の売掛金管理台帳を作成する |
売掛金の状況を得意先ごとに把握するために、得意先ごとの売掛金管理台帳を作成します。作成に当たっては、次の点を参考にしましょう。
(1)得意先をアイウエオ順で整理するのではなく、回収基準ごとのグループでまとめる。
例えば「当月締め・翌月回収」グループ、「当月締め・翌々月回収」グループなどと回収基準でまとめて整理し一覧表にまとめます。
こうすることによって、30日回収は全体の何割を占めているかなど容易につかめ、回収率も簡単に把握できます。
また回収を早める場合、ウエートの大きいグループのなかから早期回収が可能な得意先をすぐ選抜でき、売掛金回収を早める際の有効な検討資料としてすぐ使えます。
(2)備考欄等に得意先ごとに取り決めた「○日締め・○日回収」などを記入しておく。
実際の回収状況とのズレが分かり、すぐ対応できます。
ポイント2:売掛金管理台帳をもとに、得意先ごとの売掛金の状況を把握する |
売掛金がどの取引に対応するものかを明らかにしておきます。そして回収・入金があったら、その都度消し込みを行います。同時に回収遅れや漏れがないかもチェックしましょう。
ポイント3:得意先ごとに売掛金の年齢を調べる |
実際の締め日と支払日が当初の取引契約の締め日と支払日どおり行われているかどうか、また回収の内容はどうかなどを確認します。この年齢調べにおいて、次のような変化が見られたら、社長等と相談して対策を講じましょう。
<得意先の要注意事項>
@集金日(入金日)が徐々に遅れる。
A入金額が全額ではなく内金になってきてた。
B集金した金額が全額現金から手形にかわってきた。
C集金の内訳が現金と手形が半々だったのが手形の割合が増えてきた。
D手形のサイトが伸びてきた。
ポイント4:与信限度内で取引を行う |
与信限度とは、得意先に与える信用の度合いのことです。具体的には、売掛金の上限金額のことで、これ以上掛売りしてはいけないという限界点です。
与信限度を設定する場合は、次の事項に留意しましょう。
・相手先が重要資産をどの程度もっているか、その重要資産について抵当権を設定する枠があるかどうかを確認する。
・自社の売上げ(売掛金でもよい)に対する占有率はどれくらいか。
・手形サイトが長くなるなど支払条件が悪化する場合には与信限度額を見直す。
与信限度の設定方法
例えば、次のような方法で設定することが多いようですが、この方法も決め手ではありません。相手先が弁済できる財務内容であるかどうか、長年の取引状況はどうかなどを第一に考慮して設定すべきです。
1ヶ月平均売上高×回収サイト(月数)=限度額
例えば毎月50万円の売上げがあり、締め後のサイトが60日(2ヶ月)の場合、与信限度は100万円となります。なお商社等では、継続取引にあたり、設定しようとする与信限度とほぼ同額の担保提供を求め、さらに社長の個人保証を取りつけるという方法をとっています。
ポイント5:請求書の発行や集金は取り決めたどおり確実に行う |
得意先との間で取り決めた期日までに正しい請求書を漏れなく発行・発送し、取り決めた日には必ず集金します。同時にクレームや値引きの処理などは迅速に行い、支払いを遅らせる理由を相手先に与えないようにすることが重要です。