助川公認会計士事務所 | 経営管理 | 04/10/28 |
財務体質の改善 |
企業再生のために 経営環境が厳しい状況下では、不要不急の資産などは売却して、財務体質の改善・強化を図ることが必要です。
<利益の出ている企業と出ていない企業とで異なる資産売却の意義>
財務体質の改善に向けて資産を売却する際、一般的には、利益の出ている企業とそうでない企業とではその意義が少し違うようです。
1 利益の出ている企業
この際、含み損のある資産を売却して、財務体質の強化につなげることができます。
ケーススタディ:企業利益が5千万円出ているが、過去に1億円で購入した土地が5千万円になってしまった。
この土地には5千万円の含み損がありますが、売却しないとその損失は表に出ません。この際、土地を売却し、その土地の売却損を企業利益と相殺すれば、財務体質を強化することができます。
2 利益の出ていない企業
不要な資産等は売却して、不良債権や借入金等を少なくし、財務体質の改善につなげることが必要です。
<資産売却の際の注意点>
ここでは、土地とゴルフ会員権について解説します。
1 土地を売却する
平成10年度の税制改正で、法人の「土地重課制度」が原則として停止又は廃止され、法人が土地を譲渡しやすくなっています。
そこで、例えば、今までと同様に会社の土地を使用する場合でも、その土地を社長等に売却してすぐに社長等との間で土地賃借契約を結び、地代を支払うこととすれば財務上身軽になることができます。
注意点 | 社長等に土地を売却する際には、売却金額を時価相当額とします。また、社長等から土地を借りる際の地代も世間相場にすることです。なぜなら売却金額や支払地代が高いと、売却代金と適正代金との差額や支払地代と適正地代との差額が役員賞与とみなされるなど税務上問題となりかねないからです。 |
2 ゴルフ会員権を売却する
会社で所有しているゴルフ会員権について、場合によっては売却等を行い、財務体質の改善に役立てましょう。
ゴルフ会員権の場合、会員権を売却するのか、会員権を返却するのかで取扱いが変わります。簡単なケースで見てみましょう。
ケーススタディ:3千万円(入会金400万円、預託金2,600万円)で購入したゴルフ会員権。時価は1千万円
@会員権を売却する場合
時価1千万円で売却すると、2千万円の損失となります。この2千万円は、法人の他の所得と相殺できます。
A会員権を返却する場合
入会金の400万円は損失として処理できます。ただし、預託金2,600万円については、例えば、10年間の分割で返還されるということになりますと、長期未収入金となり損失とはならない点に注意してください。
このように、ゴルフ会員権については、売却するのか返却するのかで税務上の取扱いが変わりますので検討が必要です。
<機械や設備を廃棄するには>
業績不振等で生産設備や機械で稼働率が低下したり、使っていないものはありませんか。
1 機械を廃棄すれば損金算入できる!?
例えば使用しなくなった旧型の機械を廃棄した場合、その機械の帳簿価額から処分価額を控除した金額を、廃棄した事業年度の除去損として損金算入できます。処分費用も同様損金になります。
2 廃棄していなくても今後使用する可能性がないものは?
例えば、技術革新に伴って使用不能となり、今後も再使用の可能性がない旧工作機械・装置などについて、廃棄していなくても、帳簿価額から処分見込み価額を控除した金額を除去損として損金算入することができます。これを「有姿除去」といいますが、一定の要件を満たしていれば認められます。
注意点 | 廃棄した場合、本当に廃棄したことが分かるようにしておくことが必要です。産廃業者等に引き取ってもらったなら、業者から「確かにこういう機械を引き取って処分した」という証明書などをもらっておくべきです。 安易に考えてはいけません。例えば、まだ価値があるのに同業者にタダであげた場合、寄付行為となるなど税務上問題が出てきます。 |
詳細については、当事務所までお問い合わせください。