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助川公認会計士事務所 BTkigyou.jpg (1685 バイト) 資金繰り 04/05/29

銀行の貸し渋りと中小企業の資金繰り

                                      

tai1Ban_077.gif (6231 バイト)   銀行の融資姿勢は厳しく、依然として中小企業では資金繰り悪化に陥っているところもあるようです。こうした中で、企業はどのように対応していくべきかを考えます。

◇銀行は企業を格付けするだけでなく貸出金も分類している

 我が国の金融制度を世界標準に合わせるために、日本版ビックバンの一環として早期是正措置が昨年4月に施行されました。

この早期是正措置では、金融機関の経営の安全性を維持するため、定められた自己資本比率をクリアしなければなりません。その結果、特に銀行は新規の貸し出しを控えたり、貸し出したお金を回収したりしているのです。

 さらに銀行は、貸出先(債務者)の選別をすると同時に、債権を分類しています。

<債権者区分>

・正常先  :業績が良好、かつ財務内容に問題がない企業

・要注意先 :貸出条件や返済などの履行状況、あるいは業況や財務内容などに問題があり注意を要する企業

・破綻懸念先:経営難の状態で、経営改善計画等の進捗が芳しくなく、経営破綻に陥る可能性が大きい企業 

・実質破綻先:法的・形式的には経営破綻になっていないが、経営難は深刻で、再建の見通しがなく実質的に経営破綻に陥っている企業 

・破綻先   :法的・形式的な経営破綻の事実が発生している企業

<債権分類>

・第1分類債権:正常債権

・第2分類債権:回収に注意を要する債権

・第3分類債権:回収に重大な懸念のある債権

・第4分類債権:回収不能債権

 なお、金融監督庁から「金融検査マニュアル」が発表され7月から適用となり、今後金融機関の企業に対する貸出基準がより厳しくなる見通しです。

 

◇銀行に対してどう対応するか

 この4分類の債権のうち、特に第2分類債権(灰色債権)及び第3分類債権を早期回収したい金融機関に対してどう対応すればいいのでしょうか。中小企業では、以下のような対応が必要です。

 −対応1−金融機関が自社をどう見ているのか現状分析をする

 前述の分類基準等をもとに、まず次の事項を自己分析します。

 @自社がどの分類(格付け)に位置づけられているか客観的に自己診断する。

 A自社の借入金がどの分類に該当するのか、借入金ごとに内容を分析する。

−対応2−借入金で第2・第3分類に該当するものは返済の優先順位をつけ返済        する

 経営改善による利益や定期預金の解約、あるいは余裕のある所有株式や国債等の担保差し入れなどによって、第2・第3分類等のものを返済・減額又は第1分類にシフトするようにします。

 なお、第1分類債権については、通常に返済すれば問題はなく、早期回収を恐れる必要はありません。

−対応3−銀行に対して積極的に自社の内容を開示し、銀行に正当に評価しても        らう

 自社の経営内容の報告を怠ると、金融機関では実態が分からないため貸し渋り等につながりかねません。決算が終われば、決算書等を持って説明に行く(金融機関は決算書を重視します)、また少なくとも3ヶ月に一度は試算表等を持って行き「今こういう状況です」と説明するようにします。

 ただし、第2分類や第3分類の借入金が多い企業では、毎月試算表を持って行く要にしましょう。

−対応4−銀行への説明には経営者が行く

 奥さん任せ、経理担当者任せではダメです。経営者自らが、事前にアポイントを取って訪問し、これまでの実績と今後の見通しを数字で説明すると同時に、経営者の抱負・ヤル気を金融機関に訴える必要があります。金融機関が最も知りたいのは「今後、経営者はこの会社をどうしたいのか」ということです。

−対応5−説明のための資料は数字による裏付けが必要

 金融機関に効果的に説明するには、例えば次の資料を作成しておく必要があります。なお、必ず数字による裏付けが必要です。

 @過去の業績、特に部門別に管理した資料

 A業績改善策(数字による裏付けが必要)

 B利益計画

 C利益計画に基づく資金繰り表

 D借入余力を説明するもの        など

 また経営者の意図・意思が盛り込まれている経営計画書も重要です。TKCの「継続MAS支援システム」では経営計画を容易に立案できます。

−対応6−経営者は自分の言葉で説明できるようにしておく

 経営環境が激変している中、経営者は売上や利益などをリアルタイムに日々つかんでおかなければなりません。そしてそれらが前年と比較してどうか、どの部門が黒字でどこが赤字かということを把握し、その赤字の部門をどうするのかなどを自分の言葉で語ることができるようにしておきましょう。

  こうしたこと以外に、遊休資産の処分などにより財務内容を良くすることも重要です。

 そして健全経営により利益を出し増資をして、最終的には金融機関に頼らない経営ができるように自社を育てて行くべきでしょう。

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