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助川公認会計士事務所 BTkigyou.jpg (1685 バイト) 資金繰り 04/10/28
黒字経営にするために

赤字経営を続けていると、資金が流出し経営が行き詰まり、やがては倒産に至りかねません。黒字経営への転換について考えます。

赤字の中身を吟味しましょう

平成10事務年度における法人税の課税事績

国税庁によると、平成10事務年度(平成10年7月1日〜11年6月30日)における法人税の課税事績の概況は以下の通りです。

@法人数 平成10事務年度末(平成11年6月30日)現在の法人数は282万法人で、前年度比2万7千法人(1.0%)増加しました。

A申告状況

平成10事務年度中に申告期限が到来したもののうち、申告のあった件数は266万3千件で、前年度比2万1千件(0.8%)増加しています。

黒字申告割合は31.6%で、前年度に比べ3.0ポイント低下しています。

申告所得金額は33兆7,837億円、前年度比3兆9,606億円(10.5%)減少しました。これを黒字申告1件当たりで見ると3,981万円で、前年度比3.0%減少となっています。

申告欠損金額は31兆8,537億円で、前年度に比べ7兆7,478億円(32.1%)増加しています。これを赤字申告1件当たりで見てみると1,723万円で、前年度比25.4%の増加となっています。

国税庁によると、法人の申告状況では6割を超える法人が赤字となっているようです。これはあくまでも税務申告上のことですが、少なくとも自社がどれだけの利益をだしているのか把握していますか。

これを把握する方法にはいろいろありますが、その一つに「個人換算利益」という考え方があります。算出方法は次のとおりです。

個人換算利益=法人の損益(例えば税引き前損益)+経営者個人及び奥さん等の給与等やその法人から受け取っている家賃や利息など

仮に赤字企業であれば、例えば、経営者又は経営者の親族が高額な給与等を受け取っているから赤字なのか、あるいは業績が悪いから赤字なのか、その赤字の内容を分析すべきです。それによって、効果的な対策を検討し行為じるようにします。

なぜ黒字経営にしなければならないのか

なぜ黒字経営でないといけないかというと、それは次のようなことがいえるからです。

赤字は資金を垂れ流し企業の命取りに

赤字は、人間の身体でいうと出血状態です。つまり資金を垂れ流している状態なのです。過去の蓄えによって1年〜2年は持つかもしれませんが、いずれは資金が枯渇し、企業の命取りになりかねません。黒字にしなければ早晩企業は倒産に至ります。したがって、「赤字でもそのうち何とかなる」とか「赤字でもしょうがない」などと考えていてはダメです。また例えば、会社は赤字なのに経営者が高額な給与を受けているのであれば、給与を下げるなどして利益が出るようにすべきです。

 

赤字では資金調達ができない

「企業が赤字でお金がなければ、借りてくればいい」と安易に考えている経営者が多いようです。しかし、金融機関は以前のように簡単には融資に応じてくれず、赤字企業であればなおさら融資を受けられないのが現状です。資金調達ができなければ、特に借り入れに頼っている企業ではやりくりがつかず行き詰まり、やがて生活を脅されることにもなりかねません。赤字であれば税金を納めなくてもよいという程度の問題ではないのです。

また、次のようなこともいえます。例えば、道路など社会資本を作ったり維持・管理したりするのは税金で賄われています。その社会資本を使って企業活動が行えるわけですから、企業は黒字にして利益を出し、税金を支払って社会に還元していくべきです。赤字企業にも税金をかけようという論議がでてきているのは、赤字企業であっても社会資本を使っているからです。

赤字経営から黒字経営にするには?

いずれにせよ自社を赤字のままにしていては、自分たちの生活も脅されることになります。赤字から黒字にするには、次のことを検討しましょう。

@売上げを増やす

売上げは、P(価格)×Q(数量)で表されます。厳しい状況とはいえ売上げを増やすための努力として、次のような事項をチェックしてみましょう。

価格(又は価格体系)の見直しを検討したか…………□

付加価値を付けるようにしているか……………………□

例えば、鮮魚の小売店であれば、1尾100円の魚を焼いたり煮たりして150円で売るなど

客単価を上げる施策は講じているか……………………□

客数増のための施策を講じているか……………………□

例えば、商圏を広げてチラシやDMを送付する、特売を行うなど

A利益率を上げる

一言でいうと、仕入れを安くするということです。その際、もうこれ以上は安くならないなどの固定観念をまず捨てるべきです。具体的には、次のようなことが考えられます。

現金で仕入れて安くしてもらう

例えば、3ヶ月の手形で買うと100円のものが現金で買えば90円になるといった場合なら、現在低金利ですから銀行から借り入れたり、あるいは預けている預金を崩すなどして現金で安く仕入れるのです。

まとめて仕入れて安くしてもらう

仕入数量が多くなりがちですので、過剰在庫にならないように過去の販売実績を考慮することが重要です。

仕入れのタイミングを見て安く仕入れる

例えば、ある生鮮食料品店では、翌日でも鮮度にあまり支障がないものについては、市場入荷当日に買わず翌日残ったものをまとめて安く買うようにしています。

これらは一例ですが、いろいろと工夫してより安く仕入れることが肝心です。

B経費は活かして使う

経費は、ムダなものは削減し活かして使うことが重要です。特に固定費すべてについて節約可能かどうかを吟味し、見直します。

C過剰在庫等は早めに処分する

在庫品等はお金と同じです。過剰在庫等は陳腐化すると価値がなくなり損失になりますので、現金化できるものは現金化しましょう。

D赤字の得意先等がないかチェックする

赤字の得意先、赤字の商品等がないかチェックします。もしあれば、縮小・撤退を検討しましょう。

E不要不急の資産は処分し身軽になる

あまり使わないレジャークラブの会員権など不要不急の資産は、この際、損をしてでも売却します。会社自身をスリム化し、財務体制を強化しましょう。

 

赤字経営から脱出するには、次のようなことが重要です。

経営者自身の意識を変える

赤字経営あるいは赤字体質は、そもそも経営者の姿勢にあります。まず経営者自身に「赤字は悪だ」との意識改革が必要です。

そして赤字からの脱出は、経営者の責任でトップダウンで行わなければなりません。経営者には次のことが求められます。

<経営者に求められるもの>

@業績悪化を経営環境のせいにしない

景気がよくないのは他社も同じです。業績悪化の原因を自社に求め、どう改善していくか創意工夫することが必要です。

A自社をシビアに見る

ご存じのとおり金融機関は取引先企業を厳しくチェックしています。同時に自社に関係のある人の目も厳しくなってきています。したがって、きちんと利益を出し税金を納め、内部留保もして、しっかりと経営していかいと良い評価につながらず融資も受けられません。経営者は、「自社の評価はどれぐらいか」を客観的に評価し現状をしっかり把握すべきです。

B改善には相当の覚悟が必要

社内を改善・改革していくには、相当の決意と不退転の覚悟がもとめられます。

C迅速に意思決定し即実行する

時期を逸すると、状況は悪化するばかりです。改善・改革においては、迅速に意思決定し、経営者が率先して実行していかなければなりません。

現状は厳しいが改善に向けての努力は怠らない

景気は依然として低迷しており、売上げの増加、利益率の改善、経費の削減など簡単にできるものはありません。しかし、何も努力せず「しようがない」と手をこまねいていても状況は悪化するばかりです。改善に向けて知恵を絞り必死に努力する事が重要です。なお、売上げの増加や利益率の改善、経費削減等については、自社ですぐ実行できるものから行うようにしましょう。その際、社員にも充分説明して協力を得るようにします。そして成果が出たら、社員にも還元することが必要です。

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