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助川公認会計士事務所 BTkigyou.jpg (1685 バイト) 資金繰り 04/10/28
得意先が民事再生法の申請した時

民事再生法の申請件数がハイペースで増えています。大企業から個人商店まで規模・業種はさまざまで、得意先が申請という事態も現実味を帯びています。

平成12年4月に施行された民事再生法。その申請企業数が1年以上経過した平成13年6月30日までで1,000件を超えています(帝国データバンク調べ)。申請ペースは月間平均66.7件で、会社更生法や以前の和議などに比べて早いペースとなっています。

また申請企業をみると、上場企業から個人商店までさまざまな規模・業種で申請が行われているようです。申請日については、各月の上旬や中旬よりも21日以降の下旬に申請する企業が多いようです。

早期債権を目的とする民事再生法

民事再生法は、企業倒産手続きの迅速化を目指し、倒産に伴う資産の劣化や従業員の離散をくい止め、企業に早期の再建を促進することを目的としています。以前の和議手続きに代わるもので、和議の欠点を補い、会社再生よりも手続きが簡素化されています。

 

 1 債権者集会の招集通知

債権者集会の招集通知等で初めて知る得意先の申立て

民事再生法での債権者への告知は、官報への公告掲載、あるいは書類の郵送による「速達」とされています。債務者が再生手続き開始の申立てをしただけでは、広告掲載されません。したがって債権者集会の招集通知を受け取ったり、申立て直後の保全処分が発令されることによって初めて再生手続きの申立てがあったことを知ることになります。

そこで債権者は、債務者の動向を把握することに努めなければなりません。得意先に次のチェック事項のような兆候が出てきたら要注意です。万が一のことを考えておきましょう。

<得意先の危険度チェック事項(一例)>

@支払期日の延期の申し出があった

A手形のジャンプの依頼があった

B得意先の在庫が増えてきているようだ

C当社への注文が急に増えだした

D社長との連絡がとれにくくなった

E社長が不在がちで決裁がなかなかとれないようだ

F社長の悪い噂を耳にする

G社長が重病になった

H経理の責任者・担当者がいなくなり連絡が取れない

I不審な人物が出入りする

 

 2 申立て後

申立て後の債権保全・回収は困難

得意先が民事再生法を申し立てた場合、次のようなことが考えられます。

(1)債権者の権利行使が制限される

必要と認められる場合、債権者の個別的権利行使が制限されることにまります。というのも再生に必要な事業用資産等まで自由に債権者の権利行使を認めると再建に支障をきたし、同時に他の債権者の不利益になりかねないからです。

(2)担保権が消滅することがある

例えば事業継続に不可欠な工場等が担保になっている場合、その財産の価格を金銭で裁判所に納めれば担保権が消滅することになります。(担保権消滅請求制度)

(3)期間内に債権を届けないと請求権を失う

裁判所の指定期間内に債権者は債権を届け出なければ、再生債権とは認められず、再生計画の認可決定後は請求権を失います。

(4)相殺で債権葉善ができないことがある

相殺については、この再生債権届出期間満了後は認められず再生債権とされるため、相殺による債権保全はできなくなります。

(5)申請前後の権利設定は否認される

申請開始直前または開始後に、債権保全のためいろいろな権利を設定しても、他の債権者との関係から否認の対象とされます。

以上のように民事再生法の申立て後は、債権保全・回収策は少なく、債権回収は困難となります。再生手続き枠内で前向きに考えて対応するようにしましょう。

 

申請企業との取引の注意事項

民事再生法の申請・適用企業との取引には、特に次のような対応が考えられます。

@再生計画案の認可前は「手続き廃止」も考えられるので、様子を見る。

A現金取引にかえる。

B事業用資産以外の担保や第三者提供の担保を要求するなど担保権の取得に努める。

C第三者の保証人をつけてもらう。

D取引量を縮小し債権額の圧縮に努める。

E再生企業のキャッシュ・フローや資金繰りに注意する。

F再生計画の実施状況を注視する。

など

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