助川公認会計士事務所 | 資金繰り | 09/08/02 |
資金不足を乗り切る 当面の資金不足への対応 |
資金不足を乗り切る その1
当面の資金不足を乗り切る
@収益性回復までの資金を確保する
黒字転換計画で何とか黒字経営のメドがついた。次の問題は、資金が回るかどうか、ということである。
黒字に転換するまでの期間はもとより、黒字になってからも経営規模を縮小した場合には収支バランスが崩れている場合が多く、資金対策が大事なポイントとなる。
資金調達は既存の金融機関から借入金の増額ができれば何も問題はない。
しかし、現在の赤字の状態では金融機関からの資金調達は容易でない。
この一年間、あるいは半年間の資金繰りがつけば企業が立ち直れる、という局面で、どのように資金の手当てをつけて企業を再建の軌道に乗せるかがテーマとなる。
A資金繰り計画の立て方
資金繰り対策は資金繰り計画の作成から始まる。資金繰り計画の立て方を説明しよう。
資金繰り計画の前提として、まず月別利益計画を設定する。この利益計画は黒字転換計画で計画した対策を盛り込んで、月別の利益計画に展開したものである。
次いで売上回収条件、仕入支払条件を確かめ、売上高の回収・入金と仕入高の支払・決済を月別に計画する。もちろん、現在振り出してある手形の決済や手持ち手形の取立てなどは現在の残高を元に計画する。
人件費は月別に計画するが、賞与支払については利益計画と時期が異なることは言うまでもない。
諸費用の計画は利益計画の製造経費および販売費管理のうち、減価償却費など、資金が流出しない科目を除いたものを計上する。
さらに営業外収支を加減して経常的な資金収支が計算される。
これに設備支払や借入金返済、定期預金の積立など金融収支を加減して現状の資金繰りが完成する。この結果、何月にいくらの資金が不足するかが明確になる。
B対策は社内で生み出すのが原則だ
不足資金が明らかになったら、次は対策である。
赤字脱出計画の資金調達と言っても、通常の資金調達と基本的には何ら変わりはないが、ドロ臭く言うならば、多少無理をしても、多少周りに迷惑をかけても、とにもかくにも、不足資金をつなぐために、ありとあらゆる手を総合的に打ってゆくことが大切だ。
言うまでもないことだが、不渡りを出してしまえば一巻の終わりである。
再建しようにも、著しく困難が伴う。不渡りを出さずにすんだ場合と不渡りを出してしまった場合とでは再建の難しさは天と地ほどの違いがある。
C銀行借入金
資金調達方法としてはまず、銀行借入金に依存するのが一般的な考え方である。しかし、現状は赤字、担保はない、加えて銀行自体が不良債権を抱えている状態の中では借入の増額はきわめて難しい。
金融機関としては、十分な担保があるか、あるいはこの資金が経営立ち直りに必ず貢献するという確信が持てる場合以外は協力に応じてくれない。
このために、順序として、まず土地や在庫を処分するなど、社内で資金を生み出す努力をすること。しかるのちに金融機関の協力を仰ぐという手順を踏む。
これでなお、不足する場合には緊急対策として債権者に資金協力を依頼することとなる。しかし、これは最後の手段である。