助川公認会計士事務所 | 資金繰り | 09/08/02 |
資金不足を乗り切る 運転資本対策 |
資金不足を乗り切る その3 運転資本対策
運転資本対策で資金を生み出す
1.正味運転資本を圧縮する
営業活動から資金を生み出すのが運転資本対策である。
営業活動に要する資本は正味運転資本といって、売上債権と棚卸資産から買入債務を差引いて求められる。
売上債権とは売掛金、受取手形など、販売に伴う債権であり、得意先に信用供与している資産である。棚卸資産は商品・製品・仕掛品・原材料など販売のために社内に保留している資産。買入債務とは買掛金・支払手形など仕入先から供与を受けている資本である。
企業が負担すべき正味運転資本は次のように計算される。
売上債権+棚卸資産−買入債務=正味運転資本
正味運転資本の額が大きくなるほど企業は資本をどこからか調達してこなければならないことを意味しており、資金繰りは当然に苦しくなる。
運転資本対策は、この正味運転資本を小さくすることを考えればよい。
その方法は次の三つの方法しかない。
・売上債権の回収を早くする
・棚卸資産の回転を速くする
・買入債務の支払いを適正化する
2.売上回収の促進をはかる
売上回収の促進のポイントは
・販売回収条件の早期化
・回収の早い得意先への売上構成のシフト
の二つである。
得意先からの回収条件を、たとえば120日の手形で回収していたものを、90日にしてもらうことは、通常の場合まず難しい。
回収期間の短縮化はできないにしても、回収期間の長期化だけは避けなければならない。
どこも資金繰りが苦しい中で、規模の小さい企業は若干ながらでも支払を伸ばす傾向にあり、気がつかないうちに支払を遅らされている、ということは少なくないのである。それだけに、せめて回収期間の長期化だけは避けるために、回収条件については、約定通りに入っているか、厳しくチェックしておくことが大事である。
回収の早い得意先への売上シフトは、回収条件が有利な得意先は納期や単価、品質の要求が厳しい傾向にあるので、これに対応するために総合的な体力強化が求められる。また、回収のよい得意先へ、ディスカウントしてでも売上を伸ばすような場合には利益面も考慮して総合的に判断することが必要である。
さらに、資金繰りが回復した後も低価格で販売せざるを得ない状況をつくってしまわないように、短期間に区切って行なうなどの工夫が求められる。