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助川公認会計士事務所 BTkigyou.jpg (1685 バイト) 企業経営・マネジメント 04/10/28
売れる仕組み

売れる仕組みをつくる4つの視点

@産業構造内において好ましいポジションに位置すること

 ・好ましいポジションに位置するとは、成長性ないしは収益性が高く、しかも他から参入されにくい事業分野に属していることないしは関連していることである。

A販路構造内において好ましいポジションに位置すること

 ・通常の販路構造はメーカー、卸売店、小売店、エンドユーザーなど多くの販売関与者により構成されている

 ・その時々において、どのようなポジションで販売関与していくのが最も好ましいかを考え、好ましい方向に向け常に位置移動をしていくことが大切である。

B取引構造を好ましくすること

 ・好ましい取引構造とは、顧客や仕入業者が量的にも質的にもバランスがとれている状態をいう。

 ・バランスがとれているというのは収益の確保、資金繰りの安定にもっとも貢献している状態をいう。

C上記の視点を実現する上で最も効果的な営業組織をつくること

 ・営業組織形態は、その企業が実現しようとする営業課題を最も効率的に遂行していくものでなければならない。

−事例−ファクシミリ部品加工メーカーの例

 いま仮に年商10億円の部品加工メーカーがあったとする。

 この会社の社長が1981年に日本経済新聞を読んでいると、次のような記事が目に入った。それは、「1979年に450億円であったファクシミリ・マーケットは1990年には5兆円になるであろう。」というものである。

 これを読んで、社長が大手ファクシミリ・メーカーに日参し他の下請会社が嫌がるような部品でもいいから、この会社のファクシミリにとって必要不可欠な部品をつくらせてくれるように頼み、月に80万円の下請加工賃しかもらえない下請加工を始めたとする。

 月80万円ということは年間約1000万円の売上であるから、年商10億円の会社からすればわずか1%の増にしか過ぎない。しかし、大手メーカーのファクシミリの販売が増えるにつれて、この部品メーカーの売上も増していく。

 そして1990年にはファクシミリ・マーケットは110倍になると予想されるのであるから、この部品メーカーのファクシミリ関連の売上高は約10年で月商80万円から8800万円まで伸びることになる。すなわち、1年では約10億円の売上げの受注を獲得することになるのである。

 しかも、それだけで済むものではない。

 もしも、この会社が本格的に研究開発に取り組み、その部品について十分な競争力のある優秀な技術を取得したとすると、当初取引をしていた大手メーカー1社のみならず、他の数社の大手メーカーとの間でも受注関係ができるであろう。そうなると年商10億円どころか、年商40億円あるいは50億円というような受注を、ファクシミリの1部品だけを加工することにより獲得できるのである。つまり、この会社は年商10億円のメーカーから年商50億円のメーカーになることも不可能ではないのである。

<産業構造内ポジション改善の視点>

@成長事業分野に属し続ける

  成長事業分野は、先進国から後進国へ、先進地域から後進地域へと移動する

A代替商品を開発し既存マーケットのシェアを奪取する

  他社よりも早く成長性の高い商品分野に切り替える

B新しい流通ルートを開拓する

  新しい流通ルートにおいては、自社の現有商品が全く新しい商品となりうる

 

−事例−下請メッキ工場の例

 メーカーA社に、下請けとしてX社とY社という2つの主要なメッキ工場があった。

       X社───A社───Y社

   年商30億円       年商10億円

 A社は主力商品のある部分のメッキを当初X社にほとんど任せていた。この主力商品はこの10年間で大きく成長しており、X社の売上げも年間30億円を超えていた。一方Y社もX社と同様にA社のメッキの下請けをしていたのであるが、まだ主要商品の部品を取り扱っておらず、さまざまな部品のメッキを受注するだけであり、年商も10億円程度であった。ところがこれが5年ほどの間に大きく変化してしまった。X社は年商30億円が維持できなくなり、20数億円をやっとのことで現在維持している。一方Y社は隆々と伸びて、現在45億円を超える売上げをあげて堂々たる利益を上げており、しかもいつの間にか、A社に依存する売上げの割合は50%を切るようになっていたのである。

 これは次のような理由による。

 X社が取り扱っていたA社の主力商品は市場において競争力を失いつつあり、A社はX社にコストダウンを要請してきた。これに応えて、X社は懸命にコストダウンを進めた。最初のうちは材料を工夫してコストダウンを実現していたが、ある時点から先はコストダウンの要請に応えるために自社の利益を落とさざるを得なくなってきた。それでもX社はA社の要請を受け入れ、誠実に仕事をしていたのである。

 一方A社はX社にコストダウンを要請しながらも、市場の動きから従来の主力商品ではもはや今後のマーケットは勝ち取ってはいけないと感じ、新たな主力商品を秘かに開発していたのである。

 このニュースをY社はいち早く察知した。恐らくY社は、自社にとって大変有利になる情報をもたらしてくれる親派をA社の中に保有していたのであろう。さっそくY社はA社に対して、その新しい主力商品の部品を加工させてくれるように、懸命な受注活動を開始したのである。

 やがて新しい主力商品が発売されると、X社が取り組んでいた従来の主力商品の売上げは落ちていった。それにつれてX社の売上高も悪化し、年商30億円を維持できなくなってしまったのである。

 一方、Y社はこの新しい主力商品の部品加工を請け負うことによって急速に売上げを伸ばし、A社だけで20億円を超える受注をとれるようになっていた。

 またY社はそれだけに甘んじることなく、自ら他の業種の顧客開拓をも行っていった。そして今では45億円を超える売上高の50%以上を、他の取引先5社によって賄えるようになったのである。

 こうして、X社とY社の間に生じた差は、今やどうしようもない程広がってしまっている。

<取引構造をチェックする視点>

@自社の取引先が量的にバランスがとれているか

 常に安定した企業基盤を確立するためには、多業種あるいはいくつかの企業を顧客先として持っていなければならない

A自社の取引先について質的な強化、安定化が図られているか

 顧客先との関係は、極めて良好で強いものにしておくこと

B自社の取引先からのキャッシュフローは安定しているか

 特定の顧客、特定の商品分野に取引が集中すると、入出金面でアンバランスになることがある  

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